バレット食道
大阪市北区のたむらクリニックのブログをご覧いただき、ありがとうございます。
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今回は“バレット食道”についてです。
バレット食道とは?
胃と食道は本来は別の組織でできており、胃や腸は「円柱上皮(えんちゅうじょうひ)」と呼ばれる粘膜でおおわれ、食道は「扁平上皮(へんぺいじょうひ)」という粘膜によっておおわれています。
バレット食道とは、胃と食道のつなぎ目から食道の下部にかけての粘膜が、胃と同じ円柱上皮に置き換えられている状態のことを言います。
また、バレット食道は80%ほどの割合で食道がんの発生に関係がある「腸上皮化生(ちょうじょうひかせい)」が認められることから、食道がんのリスクが高い疾患であると考えられています。
バレット食道の症状と原因は?
バレット食道の主な症状には、胸やけ、胸の痛みなどがあります。
また、原因としては、胃酸、胆汁が食道へ逆流してしまう「逆流性食道炎」が関係していると言われており、逆流した胃酸によって食道の粘膜がくり返し炎症し、回復する過程で細胞が変性していくと考えられています。
バレット食道の検査と治療
内視鏡検査によって胃と食道を観察し、円柱上皮が発見されたら組織を採取し検査を行います。
薬物療法では、胃酸の逆流によって食道の粘膜に炎症が広がらないよう、胃酸の分泌を抑えるお薬を使用します。
ただし、一度発生したバレット食道がなくなることはありません。
また、ショートバレット食道(食道への胃の粘膜の広がりが3cm未満)に比べ、ロングバレット食道(食道への胃の粘膜の広がりが3cm以上)では発がんの危険性が2倍ほど高くなるというデータもあるため、治療とともに定期的な胃内視鏡検査の受診をおすすめしております。